弁護士向けiPhone時間記録アプリ6選(2026年)。事件ごとのタイムチャージを、依頼者の名前をどこにも預けずに
タイムチャージで受けた事件は、時間の記録がそのまま報酬の根拠になります。期日の待ち時間、依頼者との電話、書面の起案、移動。どれを何分記録したかを、後で依頼者に説明できなければなりません。そしてその記録には、依頼者の名前と事件の中身が含まれます。守秘義務を負う人の時間記録は、どこに保存されるかが機能と同じくらい重要です。

2011年、フランスのユーザーから、士業にはとてもいいアプリだというレビューが届きました。そして開発者への頼みとして、アプリから直接依頼者に請求書を出し、かかった時間の明細を添付できるようにしてほしい、と書かれていました。正直に言うと、その頼みに応えるまでに15年かかりました。v5のStudioで、記録した時間からそのまま請求書を出せるようになりました。
この記事は、個人で、あるいは小さな事務所で、タイムチャージの事件を担当する弁護士に向けています。大きな事務所で事件管理システムに入力する立場なら、ここに並ぶアプリは補助にしかなりません。
数字は書いた日の日本のApp Storeのもので、あなたが確認できます。1位は私が作っているアプリです。2位以下は、iTimeSheetが合わない弁護士への推薦です。
順位の付け方
弁護士の時間記録は、正確さと秘密の保持の二つで評価しました。
- データの保存場所依頼者名と事件名を第三者のサーバーに置かないこと。アカウント不要で端末内に保存されるか。
- 事件ごとの記録依頼者 → 事件 → 作業の階層で、同じ依頼者の別事件を混ぜずに記録できること。
- 短い作業を拾えるか5分の電話、10分のメール確認。1タップで始め、細切れの作業が漏れないこと。
- 実費の記録印紙、郵券、交通費。報酬とは別に実費として請求するものが、事件ごとに残ること。
- 請求までの距離記録から報酬の請求書まで、打ち直しなしで進めるか。
ランキング
App Storeの評価は2026年10月15日時点(日本のApp Store)。

iTimeSheet
依頼者の名前をどこにも預けずに、事件ごとの時間と実費を
iTimeSheetは顧客 → 案件 → タスクの3階層で、弁護士なら依頼者 → 事件 → 作業(起案、期日、打ち合わせ、調査)として使えます。時間単価は依頼者から事件、作業、記録1件へと引き継がれます。タイマーは1タップで開始、途中で事件を切り替えれば前の記録は保存され、期日の待ち時間は一時停止できます。Apple Watchやロック画面からも操作でき、法廷で端末を出せないときも後から「今日」画面で手入力できます。記録の端数を6分単位で丸めるような設定は、iTimeSheetにはその機能はありません。
実費は経費として事件に付けます。Proの既製カテゴリには郵送・配送、タクシー、電車、駐車場などがあり、印紙のようなものは自分でカテゴリを作ります。Essential以上でCSVとPDFのタイムシートを書き出せるので、時間の明細はPDFで依頼者に渡せます。Studioでは請求書タブの未請求額から1タップで請求書を作れ、日本向けの法定記載事項に対応し、インボイスの登録番号は自分で入力します。依頼者が時間の明細を求めるなら、期間を区切ったPDFタイムシートを請求書と一緒に渡せます。
アカウントはなく、提供元のサーバーも分析SDKも広告もありません。データはiPhone内のデータベースにあり、バックアップは自分のiCloud Driveに1ファイルです。弱点も書きます。事務所のPCや同僚と共有できず、事件管理システムや会計ソフトとも連携しません。表示言語は英語・フランス語・スペイン語・ドイツ語・韓国語で、日本語UIはまだありません。

強み
- アカウントなし、データはiPhoneの中だけ
- 依頼者 → 事件 → 作業の階層と、引き継がれる単価
- 実費を事件に記録、PDFタイムシートで時間の明細も出せる
- Studioで請求書、赤伝、催促メール
弱み
- 6分単位などの丸め設定はない
- 請求書のテンプレートは選べない
- 事務所内の共有や事件管理システム連携はない
- 日本語UIなし。日本のストアの評価はまだ1件
向いている人: タイムチャージの事件を一人で担当し、依頼者のデータを第三者のサーバーに置きたくない弁護士。
料金形態: 無料枠は顧客3件と1日2件の記録まで。Essential(¥600/月または¥4,000/年)で記録無制限とタイムシートの書き出し、Pro(¥1,000/月または¥7,000/年)で領収書の写真と既製の経費カテゴリ、Studio(¥1,500/月または¥11,000/年)で請求書。Studioに無料トライアルはありませんが、透かし入りの請求書プレビューで実データのPDFを確認できます。解約はAppleアカウントの設定から。
★★★★★ Super士業にはとてもいいアプリです。開発者へのお願いがあります。アプリから直接依頼者に請求書を出し、かかった時間の明細を添付できるようにしてください。よろしくお願いします。このアプリに改めて感謝します。
フランス語から翻訳 ·« Application extra pour les professions libérales. Une demande au développeur : intégrer la possibilité de facturer directement dans l'application ses clients en leur mettant en annexe le détail du temps passe. Merci d'avance et encore merci pour cet appli. »
Tteegg · App Storeレビュー · France · 2011年

TimeCharge
時間報酬のための、日本製の簡素な記録
TimeChargeは時間制の報酬のために作られた、日本の開発者による記録アプリです。依頼者と事件で分け、1タップで記録を始められ、アカウント不要で端末内に保存されます。2026年10月15日時点の日本のApp Store評価は5.0ですが、まだ1件です。日本語の画面で、時間報酬という目的にまっすぐ作られている点は、日本語UIのないiTimeSheetより入りやすいはずです。請求書の機能はありません。
強み
- 依頼者 → 事件の記録、1タップ開始
- アカウント不要、端末内保存
- 日本の開発者、日本語
弱み
- 請求書はない
- 実費の記録は中心ではない
- 評価はまだ1件
向いている人: 日本語の画面で、事件ごとの時間だけを簡潔に記録したい弁護士。
料金形態: 無料(アプリ内課金あり)

Fract
タイマーを使わず、6分単位をタップで積む
Fractは2026年に出たアプリで、タイマーを使わず、タップで6分単位の時間を積み上げます。アカウント不要で端末内に保存され、別の場所で請求したら時間をアーカイブします。日本のApp Storeにはまだ評価がありません。6分単位で記録する習慣がある人には、iTimeSheetより考え方が合っています。請求書はありません。
強み
- 6分単位をタップで記録
- アカウント不要、端末内保存
- 請求後にアーカイブできる
弱み
- 請求書はない
- タイマーがない
- 日本のストアに評価がまだない
向いている人: 6分単位で時間を記録する習慣がある弁護士。
料金形態: 無料(アプリ内課金あり)

It’s About Time
コンサルタントと弁護士向けの買い切りアプリ
It's About Timeは買い切りのアプリで、データは端末内、iCloud同期、書き出しに対応し、コンサルタントと弁護士を想定しています。日本のApp Storeにはまだ評価がありません。サブスクリプションを避け、複数のApple端末で記録を同期したいならiTimeSheetより向いています。請求書はありません。
強み
- 買い切り
- 端末内保存、iCloud同期
- 書き出しに対応
弱み
- 請求書はない
- 日本のストアに評価がまだない
- 階層はプロジェクト → タスク
向いている人: 買い切りでiCloud同期が欲しい弁護士。
料金形態: 買い切り

Timemator
買い切り、Apple Watch、依頼者向けのPDFレポート
Timematorは買い切りの時間記録アプリで、アカウント不要、iCloud同期、時間単価と売上、顧客向けのPDFレポート、Live Activity、Apple Watchに対応しています。2026年10月15日時点の日本のApp Store評価は4.9(10件)。時間の報告書をPDFで依頼者に出すだけなら十分です。請求書は作れません。
強み
- 買い切り、アカウント不要
- iCloud同期、Apple Watch
- 顧客向けPDFレポート
弱み
- 請求書は作れない
- 階層はフォルダ → タスク
- 評価10件
向いている人: 依頼者に時間の報告書だけを出し、請求書は別に作る弁護士。
料金形態: 買い切り

Toggl Track
事務所で共有するならクラウドの定番。ただし保存先に注意
Toggl Trackはクラウド型の時間記録で、iPhoneアプリは無料、Togglアカウントで同期し、チームで使えます。2026年10月15日時点の日本のApp Store評価は4.6(およそ1,600件)。事務所の複数の弁護士で記録を共有できるのはiTimeSheetにない強みです。ただし依頼者名や事件名はTogglのサーバーに置かれるので、守秘義務との関係を事務所で判断してください。
強み
- チームで共有できる
- PCとiPhoneで同じ記録
- 評価件数が多い
弱み
- 依頼者名がTogglのサーバーに置かれる
- アカウント必須
- iPhoneアプリに請求書はない
向いている人: 複数の弁護士で記録を共有し、クラウド保存を事務所として判断済みの事務所。
料金形態: iPhoneアプリ無料、Web有料プラン
比較表
| アプリ | アカウント必須 | データの保存場所 | 請求書 | 領収書の写真 | 対応 | 料金形態 | 評価 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| iTimeSheet | 不要 | あなたのiPhone(バックアップは自分のiCloud) | はい (Studio) | はい (Pro) | iPhone + Apple Watch | 無料プラン+有料プラン | 1.0 ★(1) |
| TimeCharge | 不要 | あなたのiPhone(バックアップは自分のiCloud) | いいえ | — | iPhone | 無料(アプリ内課金あり) | 5.0 ★(1) |
| Fract | 不要 | あなたのiPhone(バックアップは自分のiCloud) | いいえ | — | iPhone | 無料(アプリ内課金あり) | — |
| It’s About Time | 不要 | あなたのiPhone(バックアップは自分のiCloud) | いいえ | — | iPhone | 買い切り | — |
| Timemator | 不要 | あなたのiPhone(バックアップは自分のiCloud) | いいえ | — | iPhone + Apple Watch | 買い切り | 4.9 ★(10) |
| Toggl Track | 必須 | 提供元のサーバー | いいえ | — | iPhone + Web/その他 | iPhoneアプリ無料、Web有料プラン | 4.6 ★(1,592) |
App Storeの評価は2026年10月15日時点(日本のApp Store)。
iTimeSheetで過ごす一日
期日が一つ入った火曜日を追います。
9時、起案
事務所でロック画面から「依頼者A → 損害賠償請求 → 準備書面の起案」を開始。単価は依頼者に設定したものが事件に引き継がれます。
13時、期日
裁判所に着いたらWatchで「期日」に切り替え。待ち時間を含めて記録し、法廷では端末を出しません。止め忘れた分は後で「今日」画面で直します。
15時、実費
郵券とタクシー代を経費として事件に付けます。郵送・配送とタクシーはProの既製カテゴリ、印紙は自分で作ったカテゴリ。
月末
Studioで報酬と実費の請求書を作り、依頼者が求めればPDFタイムシートで時間の明細も添えます。

よくある質問
裁判所の中で通信できなくても記録できますか?
できます。法廷や拘置所のように端末を使えない、あるいは電波のない場所でも、記録はiPhoneの中にあるので消えません。期日の前後でApple Watchを押しておけば、iPhoneとつながった時点で押した時刻に遡って登録されます。後から「今日」画面で手入力することもできます。ネットが要るのはiCloudへのバックアップと購入のときだけです。
依頼者名や事件名は、どこに保存されますか?
あなたのiPhoneの中のデータベースだけです。アカウントもメールアドレスの登録もなく、提供元のサーバーもありません。バックアップを使う場合は、自分のiCloud Driveに1ファイルとして置かれます。App Storeのプライバシー表示の項目は匿名のサブスクリプション処理用で、あなた個人には紐付かず、トラッキングにも使いません。
報酬の請求書に源泉徴収は入れられますか?
Studioの請求書は日本向けの法定記載事項に対応したレイアウトで、インボイスの登録番号は発行者情報として自分で入力します。源泉徴収税額を自動で差し引く機能はiTimeSheetにはありません。必要な場合は自由記述の支払い案内欄で補い、扱いは税理士に確認してください。時間の明細が必要なら、PDFタイムシートを添えて渡せます。
一人の弁護士だと、いくらかかりますか?
無料枠は顧客3件と1日2件の記録まで。Essentialは¥600/月または¥4,000/年、Proは¥1,000/月または¥7,000/年、Studioは¥1,500/月または¥11,000/年です。時間の明細だけならEssential、請求書まで出すならStudio。解約はAppleアカウントの設定からで、解約してもデータは消えません。
事務員や同僚と記録を共有できますか?
iTimeSheetにはその機能はありません。一人用で、共有の作業場はありません。CSVやPDFを書き出して渡すことはできますが、日常的に共有するならToggl Trackのようなクラウド型が必要です。その場合は依頼者の情報が外部のサーバーに置かれることを、事務所として判断してください。
結論
タイムチャージの事件を一人で担当し、依頼者のデータを外に出したくない弁護士には、iTimeSheetを勧めます。アカウントなしで事件ごとの時間と実費が残り、時間の明細はPDFタイムシート、請求書はStudioで出せます。
日本語の画面ならTimeCharge、6分単位のタップならFract、買い切りならIt's About TimeかTimematorです。事務所で共有するならToggl Trackですが、保存先は必ず確認してください。