大工向けiPhone時間記録アプリ6選(2026年)。作業場の時間も現場の時間も、見積と照らし合わせる
大工の時間は二か所に分かれています。作業場で材を刻み、造作の棚や建具を組む時間と、現場で取り付けて納める時間。見積を出すときは両方を足したはずなのに、終わってみると作業場の時間は誰にも見えず、請求からこぼれがちです。材木屋の伝票も同じです。作業場と現場を同じ仕事の下で記録し、見積と実際を比べられるアプリを並べました。

2010年の夏、フランスのユーザーから4つ星のレビューをもらいました。入れ直したら完璧に動く、と前置きしたうえで、タスク、プロジェクト、顧客ごとに使った時間を見積もり、請求するか、採算を確かめるのに本当に便利だ、と。「採算を確かめる」という言葉は、大工の仕事にそのまま当てはまります。キッチンの造作を30万円で受けて、作業場で何時間、現場で何時間かかったのか。それを知らないまま次の見積を出すと、同じ赤字を繰り返します。
この記事は、自分の作業場を持ち、造作家具、建具、リフォームを施主や工務店から直接受ける大工に向けています。新築の現場で工務店の常用として動くのが中心の人には、記録の単位が違うので別のアプリを勧めます。
二つのルールで書いています。評価と件数は書いた日の日本のApp Storeの表示のままで、誰でも照合できます。そして1位は私が作っているアプリです。2位以下は、iTimeSheetが合わない大工への正直な推薦です。
順位の付け方
大工の仕事は見積と実際の差で儲けが決まるので、時間がどこで使われたかが後から分かるかどうかを中心に見ました。
- 作業場と現場を分けて記録できるか同じ仕事でも、作業場の刻みと現場の取り付けは別々に記録しないと、どちらで時間がかかったか分かりません。
- 見積と実績を比べられるか見積で8時間と読んだ建具が実際に何時間だったか。次の見積の精度は、この比較からしか上がりません。
- 材料費が仕事に付くか材木屋の伝票、金物、塗料。現場ごとに付いていないと、請求書に乗らずに消えます。
- おがくずだらけの手で操作できるか作業場ではスマートフォンを手に取らないので、Apple Watchか、作業台に置いたままロック画面から触れること。
- 請求書まで写し替えがないか見積、着手金、最終の請求書。記録とは別のソフトで打ち直すと、材料費の転記で間違えます。
ランキング
App Storeの評価は2026年10月15日時点(日本のApp Store)。

iTimeSheet
作業場の時間と現場の時間を、同じ仕事の下に並べる
iTimeSheetの顧客 → 案件 → タスクは、大工なら施主または工務店 → 仕事(田中邸キッチン造作) → 工程(作業場の刻み、現場の取り付け、手直し)と使えます。作業場と現場をタスクで分けておけば、同じ仕事の時間が二つに分かれて残り、週と月のタイムシートや検索で見返せば、どこで時間がかかったかが見えます。時間単価は顧客から案件、タスクへと引き継がれ、記録1件だけ上書きもできます。作業場ではApple Watchの文字盤をタップするだけ。途中で別の仕事に切り替えれば、前の記録は時間つきで保存されます。
材料費は経費として仕事に付けます。Essentialでは自分で決めたカテゴリの明細、Proでは領収書の写真が付けられます。Proの14種類の既製カテゴリは走行距離や駐車場など移動と出張まわりなので、「木材」「金物」は自分でカテゴリを作ります。Studioでは見積書に独自の連番があり、承諾されたら1タップで請求書に、承諾済みの見積額の2割、3割、5割のいずれかで着手金請求書も出せます。最終の請求書は未請求の時間と材料費を拾い(着手金の自動の差し引きはありません)、ロゴ、年ごとの連番、日本向けの法定記載事項、振込先が載ります。インボイスの登録番号は発行者情報として自分で入力します。
データはiPhoneの中だけです。アカウントも、提供元のサーバーも、分析SDKもありません。バックアップは自分のiCloud Driveに1ファイル、Essential以上は毎日自動。弱点も書いておきます。見積書の金額と実際の時間を自動で突き合わせる画面はなく、比較はタイムシートと見積書を見て自分でします。木材の拾い出しや材料の積算の機能もありません。一人用で、iPhoneとApple Watchのみ、iPadもWebもなく、会計ソフト連携もありません。表示言語は英語・フランス語・スペイン語・ドイツ語・韓国語で、日本語UIはまだありません。

強み
- 作業場と現場をタスクで分け、同じ仕事の下で時間を比べられる
- Apple Watchで作業台から開始、仕事の切り替えで前の記録を自動保存
- Studioで見積、着手金請求書、最終請求、赤伝、催促メール
- アカウントなし、データは手元、無料枠で顧客3件まで試せる
弱み
- 見積と実績の自動比較や材料の積算はない
- 一人用、iPhoneとWatchのみ。iPad版とWeb版はない
- 材料のカテゴリは既製になく自分で作る。会計ソフト連携もない
- 日本語UIなし。日本のストアの評価はまだ1件
向いている人: 作業場を持ち、造作やリフォームを直接受けて、自分で見積と請求を出す大工。見積と実際の時間の差を知りたい人。
料金形態: 無料枠は顧客3件と1日2件の記録まで。Essential(¥600/月または¥4,000/年)で記録数無制限、経費の明細、CSV/PDF書き出し、自動バックアップ。Pro(¥1,000/月または¥7,000/年)で領収書の写真とウィジェット。Studio(¥1,500/月または¥11,000/年)で見積、着手金、請求書、赤伝。Studioに無料トライアルはありませんが、透かし入りの請求書プレビューで実データのPDFを買う前に確かめられます。Apple経由の自動更新で、解約はAppleアカウントの設定から。
★★★★ Nickel入れ直したら完璧に動きます。使いやすく、直感的で、タスク、プロジェクト、顧客ごとに使った時間を見積もり、請求するか採算を確かめるのにとても便利です。
フランス語から翻訳 ·« Après réinstallation, fonctionne parfaitement. Facile a utiliser, intuitif, hyper pratique pour évaluer le temps passe sur une tache, un projet, un client et facturer et/ ou évaluer la rentabilité »
Topissime · App Storeレビュー · France · 2010年

出面帳
工務店の常用で現場に入る大工の、人工の帳面
出面帳は一人親方向けに2026年7月に公開された日本製アプリで、カレンダーをタップして現場ごとの人工を記録し、元請けに渡す出面表をPDFで出します。Pro版では消費税と振込先を入れた請求書も作れます。アカウント不要でデータは端末内。新築の現場で工務店の常用として働く大工なら、時間単価で積み上げるiTimeSheetより、人工で数えるこちらの方が話が早いです。作業場の時間を細かく分けたり、材料費を積み上げたりする用途には向きません。2026年10月15日時点の日本のApp Store評価は4.9(7件)。
強み
- 現場ごとの人工をカレンダーで1タップ
- 出面表PDF、Proで消費税と振込先入りの請求書
- アカウント不要、日本語、端末内保存
弱み
- 人工単位で、作業場と現場の時間比較には向かない
- 材料費の記録は中心ではない
- 公開から3か月、評価7件
向いている人: 工務店の常用が中心で、月末に人工の出面表を出す大工。
料金形態: 無料(アプリ内課金あり)

作業時間記録
作業の内訳を、日本語で1タップずつ
作業時間記録はプロジェクト・タスク・タグで作業時間を1タップで記録し、レポートで集計する日本製アプリです。アカウント不要でデータは端末内、2026年10月にも更新されています。2026年10月15日時点の日本のApp Store評価は4.5(22件)。刻み、組み立て、塗装、取り付けをタグで分けて、自分の作業の内訳を日本語で知りたいなら、iTimeSheetより手軽です。単価や請求は扱わず、設計は生産性の記録寄りです。
強み
- 1タップ記録、プロジェクト・タスク・タグ別の集計
- 日本語、アカウント不要、端末内保存
- 更新が続いている
弱み
- 単価も請求書もない
- 材料費の記録はない
- iPhoneのみ
向いている人: 請求は別の方法で済ませ、作業ごとの時間の内訳を日本語で記録したい大工。
料金形態: 無料(アプリ内課金あり)

Invoice Simple
一式の見積書と請求書を、現場ですぐに
Invoice Simpleは請求書、見積書、領収書を素早く作ることに特化したアプリで、無料トライアルの後はサブスクリプションです。アカウントは任意で、データは端末か提供元のクラウドに置けます。2026年10月15日時点の日本のApp Store評価は4.7(728件)。施主の家で一式の見積を出し、その場で請求書にする速さはiTimeSheetより上です。時間記録はないので、作業場の時間を根拠にした請求や採算の確認には別のアプリが要ります。
強み
- 見積書、請求書、領収書を短時間で作成
- アカウント任意
- 評価728件で4.7
弱み
- 時間の記録はない
- 無料トライアル後はサブスクリプション
- 採算の確認には別のアプリが必要
向いている人: 一式請負が中心で、見積書と請求書を現場で素早く出したい大工。
料金形態: サブスクリプション

freee請求書
PCで見積を整えて、iPhoneで施主に見せる
freee請求書は見積書から請求書までをインボイス制度の様式で作り、freeeアカウントでPCとiPhoneを同期します。2026年10月15日時点の日本のApp Store評価は4.5(およそ2,500件)。夜に作業場のPCで見積を整え、翌朝施主の前でiPhoneから見せる、という使い方はiTimeSheetにはできません。時間の記録はなく、アカウントとクラウドが前提です。
強み
- 見積書から請求書まで、インボイス制度の様式
- PCとiPhoneで同期
- 無料プランあり
弱み
- 時間を記録しない
- アカウント必須、データは提供元のサーバー
- 材料費と時間の積み上げは別に用意する
向いている人: freeeをすでに使っている、またはPCで見積を作ってiPhoneで見せたい大工。
料金形態: 無料プラン+有料プラン

工数ノート
日本語で、仕事ごとの時間単価と売上を
工数ノートは2026年1月に出たフリーランス向けの日本製アプリで、タイマー、案件ごとの時間単価、売上の自動計算、レポートが揃っています。アカウント不要でデータは端末内、日本語で無料から試せます。仕事ごとに時間を測って売上を見る、という考え方はiTimeSheetと同じで、日本語の画面を優先するならこちらです。請求書と経費の記録はなく、Apple Watchにも対応していません。2026年10月15日時点の日本のApp Store評価は5.0(1件)。
強み
- タイマー、時間単価、売上計算
- 日本語、アカウント不要、端末内保存
- 無料から始められる
弱み
- 請求書も経費の記録もない
- Apple Watch非対応
- 評価はまだ1件
向いている人: 日本語の画面で、仕事ごとの時間と売上だけを追いたい大工。
料金形態: 無料(アプリ内課金あり)
比較表
| アプリ | アカウント必須 | データの保存場所 | 請求書 | 領収書の写真 | 対応 | 料金形態 | 評価 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| iTimeSheet | 不要 | あなたのiPhone(バックアップは自分のiCloud) | はい (Studio) | はい (Pro) | iPhone + Apple Watch | 無料プラン+有料プラン | 1.0 ★(1) |
| 出面帳 | 不要 | あなたのiPhone(バックアップは自分のiCloud) | はい | — | iPhone | 無料(アプリ内課金あり) | 4.9 ★(7) |
| 作業時間記録 | 不要 | あなたのiPhone(バックアップは自分のiCloud) | いいえ | — | iPhone | 無料(アプリ内課金あり) | 4.5 ★(22) |
| Invoice Simple | 任意 | あなたのiPhone、クラウドは任意 | はい | — | iPhone + Web/その他 | サブスクリプション | 4.7 ★(728) |
| freee請求書 | 必須 | 提供元のサーバー | はい | — | iPhone + Web/その他 | 無料プラン+有料プラン | 4.5 ★(2,510) |
| 工数ノート | 不要 | あなたのiPhone(バックアップは自分のiCloud) | いいえ | — | iPhone | 無料(アプリ内課金あり) | 5.0 ★(1) |
App Storeの評価は2026年10月15日時点(日本のApp Store)。
iTimeSheetで過ごす一日
キッチンの造作を受けた週の水曜日を、iTimeSheetで追います。
7時30分、作業場
作業台の前でApple Watchの文字盤をタップし、「田中邸キッチン造作 → 作業場の刻み」を開始。手はおがくずだらけでも、腕だけで始められます。
10時、材木屋
足りない集成材と金物を買い、伝票を撮って田中邸に付けます。カテゴリは最初に自分で作った「木材」と「金物」。経費は田中邸の時間の隣に並びます。
13時、現場で取り付け
軽トラで田中邸へ。タスクを「現場の取り付け」に切り替えると、作業場の刻みは4時間50分で保存されます。現場の時間は別の行として記録が始まります。
17時30分、作業場に戻って
月のタイムシートで田中邸の記録を見ると、作業場と現場の時間が分かれて並んでいます。見積で読んだ時間と比べて、どちらで押しているかを確認します。
引き渡しの週末
請求書タブには未請求の時間と材料費が出ています。見積から出した着手金は自動では差し引かれないので、その分を確かめます。1タップで最終の請求書を作り、振込が来たら入金済みに。

よくある質問
作業場が山の中で、電波が入りません。使えますか?
使えます。記録、経費、写真はすべてiPhoneの中のデータベースに保存されるので、電波がなくてもタイマーと手入力は普通に動きます。Apple Watchのタップは、iPhoneと離れているあいだ溜めておかれ、つながった時点で押した時刻に遡って登録されます。通信が必要なのは、自分のiCloudへのバックアップとサブスクリプションの購入だけです。
施主の住所や見積の金額は、どこに保存されますか?
あなたのiPhoneの中のローカルなデータベースだけです。アカウントもメールアドレスもなく、提供元のサーバーもありません。iCloudバックアップは自分のiCloud Driveに1ファイルとして置かれ、ファイルアプリで確認できます。手動は全プラン、毎日の自動バックアップはEssential以上です。App Storeのプライバシー表示にある項目は匿名のサブスクリプション処理用で、あなた個人には紐付かず、トラッキングにも使いません。
見積書から着手金、最終請求まではどう流れますか?
Studioでは、見積書は請求書とは別の連番で管理されます。施主が承諾したら1タップで請求書に変換でき、材料を仕入れる前なら承諾済みの見積額の2割、3割、5割のいずれかを着手金請求書として出せます。最終の請求書は未請求の時間と経費を拾い(着手金は自動では差し引かれないので自分で調整します)、ロゴ、年ごとの連番、日本向けの法定記載事項、振込先、施主ごとの支払条件が載ります。インボイスの登録番号は発行者情報として自分で入力します。仕様変更で請求をやり直すときは、赤伝で取り消して作業を請求可能な状態に戻します。
一人の大工だと、いくらかかりますか?
無料枠は顧客3件と1日2件の記録まで。作業場と現場を分けて記録すると1日2件はすぐ埋まるので、実際にはEssential以上になります。Essentialは¥600/月または¥4,000/年、Proは¥1,000/月または¥7,000/年、Studioは¥1,500/月または¥11,000/年。見積と請求書はStudioです。Studioに無料トライアルはありませんが、透かし入りの請求書プレビューで自分のデータのPDFを買う前に見られます。Apple経由の自動更新で、解約はAppleアカウントの設定から。
見積で読んだ時間と、実際にかかった時間を比べられますか?
自動の突き合わせ画面はありませんが、比べること自体はできます。仕事ごとに作業場と現場のタスクを分けて記録しておけば、週と月のタイムシートや検索で、どの工程に何時間かかったかを見返せます。月や任意の期間で区切って、前の期間との差も確認できます。見積の内容はStudioの見積書として残っているので、両方を見比べて次の見積の読みを直す、という使い方になります。
結論
作業場を持ち、造作やリフォームを直接受ける大工には、iTimeSheetを勧めます。作業場と現場の時間が同じ仕事の下に分かれて残り、材料費はその仕事に付き、Studioなら見積から着手金、最終請求まで一つの流れで出せます。見積と実際の差が見えるようになるのが、いちばんの効き目です。
工務店の常用が中心なら出面帳、作業の内訳を日本語で記録したいだけなら作業時間記録。一式の見積と請求書を素早く出すならInvoice Simple、PCで見積を作るならfreee請求書。日本語UIがないことは、無料枠で使ってから判断してください。